おとといくらいの早朝だった
僕の傍らにチビがいた
彼は僕に外に行こうと、外を指さした
なぜだか、僕は彼からの提案を素直に聞きたい衝動にかられた
寝ているカミさんを起こさないで二人で玄関から外に出た
マンションの中庭にはアジサイが満開だった
彼は「お花、きれいねぇ」とか細い声で僕に言った
彼の手をとりマンションを後にした
彼の手がしだいにゴツゴツとデカイ手に変わってきた
僕はびっくりして手を離した
横には、ダンヒルの紺色のストライプのスーツを着た青年が立っていた
僕は彼に「な、なんだ」と話しかけた
彼は人懐っこい顔でこう言った
「お父ちゃん、あなたが僕に人のやくにたてる人になれって言ったから僕は勉強したんだよ」
その瞬間
ほほをピタピタと叩くカンショクがした、
あれっと思ったらチビがニヤーと笑って
「お父ちゃん、起きて 」
寝室の中だった
彼の手を握り、自分の顔にあてた
お砂糖と、醤油のあまーい匂いがした
夢だったんだ
青年の顔だけが思いだせない
寝室のカーテンをあけると、そこに一部咲きのアジサイがあった
チビがそれにきずき 「お花キレイねぇー」とニヤーとした
僕も一緒にニヤーとした